夜空を見上げると、月や星は地球の自転に伴って東から西へと動いていきます。しかし、気象衛星「ひまわり」や衛星放送用のBS/CSアンテナが向いている通信衛星は、24時間365日、空のまったく同じ位置にピタリと静止しているように見えます。これらが配置されているのが「静止地球軌道(GEO: Geostationary Earth Orbit)」です。
人工衛星が地球を周回する周期(1周にかかる時間)は、衛星の質量に関係なく、「地球の中心からの距離(軌道半径)」だけで決まります(ケプラーの第3法則)。
地球が自転するスピードと、衛星が地球を回るスピードが完全に一致するため、地上にいる私たちからは衛星が上空の一定の位置に止まっているように見えるのです。この特別な軌道は、赤道直下の高度約35,786kmに円周として1本だけ存在します。
日本の気象衛星「ひまわり8号・9号」は、東経140.7度の赤道上空約35,800kmに静止しています。この絶好の観測ポイントから、日本を含む東アジア・西太平洋全域の雲の動きや台風の発達、水蒸気の流れを10分ごと(日本周辺は2.5分ごと)にカラー連続撮影し、私たちの毎日の天気予報や線状降水帯の早期警戒を支えています。
赤道上空36,000kmの円周上は、世界中の国々が通信・放送・気象・軍事衛星を配置したい一等地です。電波の混信や衝突を防ぐため、国連の国際電気通信連合(ITU)が衛星同士の間隔(通常1〜2度刻み)と経度位置(スロット)を厳格に管理・調整しています。
静止衛星は燃料が尽きると位置を維持できなくなります。しかし、高度36,000kmからは大気抵抗で地球に落下させることができません。そのため、寿命を迎える直前に残りの燃料を使って静止軌道より約300km高い「墓場軌道(スーパーシンクロナス軌道)」へと自力で上昇し、貴重な静止軌道スロットを後継衛星に譲り渡す国際ルールが定められています。
本記事で紹介した人工衛星や軌道は、ブラウザ上で誰でもリアルタイム3Dシミュレーションできます。地球を360度自由回転させて今すぐ追跡してみましょう。
🚀 3Dシミュレーターを開く (無料)